トレーニングセンターファカルティ(TC Faculty)について

 世間一般的にAHA関連資格として、プロバイダー(Provider)とインストラクター(Instructor)という2種類の立場についてはよく知られていますが、ファカルティ(Faculty)という立場についてはかなりAHAに踏み込んだ活動をされている方でないと知らないことが多いのではないかと思われます。そこで、ここではファカルティとはどのような立場にあたるのかについて簡単に説明したいと思います。
 
 そもそもFacultyという英単語は「能力」や「学部」という意味合いで用いられることが多いのですが、AHAでは「指導員教官」という立場で活動する者のことを指します。このファカルティ(Faculty)という資格はそれぞれの団体単位(TC)で認定される立場であるため、トレーニングセンターファカルティ(TC Faculty)と呼ばれます。簡単に言えばその団体の最高位のポジションのインストラクターというわけです。このトレーニングセンターファカルティ(TC Faculty)はその団体がAHAと契約している科目毎に存在します。例えば、我々が所属する日本医療教授システム学会国際トレーニングセンター(JSISH-ITC)では、2014年1月現在でBLS、ACLS、PALSの三科目の契約を結んでいるため、それぞれBLS TC Faculty、ACLS TC Faculty、PALS TC Facultyが存在するわけです。場合によっては1科目だけのFacultyに認定されている者もいれば、複数科目掛け持ちのFaculty(例えば、BLSとACLSのTC Facultyなど)の者もいます。
 
 トレーニングセンターファカルティ(TC Faculty)の権限については以下のようなものがあります。
 1.プロバイダーコースの開催
 2.インストラクターコースの開催
 3.インストラクター候補者(インストラクターコース修了者)のモニターとインストラクターの認定
 4.コースディレクター候補者のモニターとコースディレクターの認定
 5.自身が所属している活動拠点の質の管理、インストラクターの管理など
 
 トレーニングセンターファカルティ(TC Faculty)に認定される明確な基準はAHAからは発表されておらず、各団体によって異なります。団体によっては医師にしか認めていない場合もありますし、JSISH-ITCのように看護師やコメディカルスタッフにもその門を開いている団体もあります。しかし、立場的にはどの団体であっても上記のように最高位のポジションのインストラクターとなるため、認定されるにはある程度の活動履歴と実績が必要であると推測されます。ご興味がある方は自身の所属するトレーニングセンターに聞いてみると具体的な自分の方針が定まり、よい刺激になるかもしれません。
 
 AHA松戸ECCトレーニングサイトでは、同団体に所属する田中秀明小児救急看護認定看護師と後藤拓也看護師がBLS、ACLS、PALSの3科目でファカルティに認定され活動しています。