救命の連鎖について

  心臓が停止している人や窒息などといった生命の危機的状況に陥った人、あるいはこれらが切迫している人を助け、社会復帰に導くためには、「救命の連鎖」と呼ばれる4つの要素を手順よく実施する必要があります。 倒れている人の第一発見者が一般の方であっても、医療関係者であっても、この手順で開始します。『救命の連鎖』が確実に実施されれば、救命率が増えたという報告が相次いでいます。
 学校内での蘇生は若い人が主な対象であり、比較的健康な集団であるのが特徴です。しかし既往に心臓病や不整脈の症状がある人もおり、普段は正常でもスポーツ時、課外活動などで重い病状が出ることがあります。また野球、サッカーのような球技で胸にボ ールが当たり、心臓振盪(しんぞうしんとう)で急変し、心停止に至ることに注意しなければいけません。このような場合、AEDが使用できれば救命できる可能性が高くなりますので、普段から使用できる体制を整 えておくことが望ましいです。以下に現時点で最新の日本版心肺蘇生法ガイドライン2010を基にして、『救命の連鎖』の手順を説明していきます。
 
・第1の鎖 心停止の予防
 いったん心停止に陥った人の救命率は高くはありません。したがって心停止や呼吸停止を予防する ことが非常に重要です。
 
・第2の鎖 早期認識と通報(迅速な通報と心停止の認識)
 人が突然に倒れた(昏倒した)という急変事態に遭遇したら、救助の現場が危険でないことを目で確認して、すぐに反応の有無の確認します。反応がなければ心停止を疑って助けを呼び、救急車を依頼します。
 
・第3の鎖 一次救命処置(迅速な心肺蘇生とAEDによる電気ショック)
 心停止を認識したらすぐに胸骨圧迫心臓マッサージから始める心肺蘇生を実施します。また速やかにAEDを確保し、使用します。
 
・第4の鎖 二次救命処置と心拍再開後の集中治療
 医療機関に搬送後、高度な医療処置と心拍再開後は集中治療室などでの厳重な身体管理が行われます。
 
日本版蘇生ガイドライン2010 救命の連鎖