JCI(国際医療機能評価)とAHAプロバイダーコース

 皆さんは医療機関の国際的機能評価として有名であるJCIについてご存知でしょうか?これはシカゴに本部がある米国の医療施設を対象とした第三者評価機関Joint Commission(元JCAHO:1951年設立)の国際部門として設立された、国際非営利団体 Joint Commission Internationalの略称です。JCI による評価は14分野1,220項目について、医療現場の詳細なチェックにて行われます。中でも、「患者さんの安全性の確保」や「医療の質の向上」に関する項目が大変充実しており、世界基準の厳しい運営管理が求められるのです。また、職員への教育体制として、JCIを取得するためには全職員が蘇生教育を受けてその証拠を提出することを求めています。これは先の「患者さんへの安全性の確保」と「医療の質の向上」に大きくかかわってくる重要なポイントでしょう。高度な設備や医療機器、最先端医療を提供できる環境がいくら整備されていたとしてもそこで勤務する職員が当然実践できなければいけない蘇生処置の知識・技術を全く持ち合わせていなければ、何の意味も持たない。それがJCIの考え方なのかもしれません。
 
 
 
 当然のことながらただ単に病棟などでちょっとした蘇生教育を行ってO.K.というわけにはいかなそうですね。それは教育を受けた証拠を提出することを求められているからです。つまり、何かしらの修了証が発行されるコースを受講しなければいけないということになります。事務職の方は別として、医師や看護師、コメディカルスタッフなどの医療従事者が受講するのであれば、医療従事者向けのトレーニングコースを受講すべきです。そうなると日本で現在行われているコースはAHA-BLSヘルスケアプロバイダーコースか日本救急医学会認定BLSコース、二次救命処置の内容まで求めるのであればAHA-ACLSプロバイダーコースや同じく日本救急医学会認定ICLSコースしか実質的には存在しません。
 
 しかし日本救急医学会認定コース(BLS、ICLS)はご存知の方も多いと思いますが、原則としてコースディレクター資格を有する医師が同席しなければコース開催を行うことはできません。医師は多忙。病院に所属する医療従事者すべてにコースを提供するには何年経過すれば達成できるか予想もつきません。これではJCIの評価を受けることができるのが数年後になってしまう可能性も出てきます。
 
 このHPの「病院トレーニングサイトの設置」のページにも記載されていますが、AHAコースを開催することができるコースディレクターは医師である必要はありません。もちろん、どの団体かにもよりますが、少なくともJSISH-ITCの団体では看護師であってもコメディカルスタッフであってもコースディレクターに認定されることは可能です。またJSISH-ITCでは病院独自で自分たちのスタッフのためだけのクローズドコースを開催できるよう、その体制づくりからAHAインストラクターの育成、コースディレクターの養成までを担当ファカルティが責任を持って行っています。自分たちでコース開催できれば最低限の受講料金だけで抑えることができ、世間一般的に有名な数万円単位の受講料金は必要ありません。これは職員教育の面からも非常に有利になるとともにJCIなどの機能評価を受ける面からしても非常に有効的と言えるでしょう。
 
 AHAプロバイダーコースは国際ライセンスであるため、海外の機能評価機構においても認知度が非常に高く、資格取得することは大きな好影響を及ぼすでしょう。ぜひ、これを機会に病院トレーニングサイトを設置することを検討してみてはいかがでしょうか。